第三節 福島町の地名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
北海道内の地名のほとんどはアイヌ語に発した地名である。福島についてはアイヌ語でオリカナイ(折加内)と言われてきたが、これはアイヌ語のホロカ ナイ=潮が入ってきて河水が逆流する川という意味である。(永田方正筆『北海道蝦夷語地名解』)つまり、現在の福島川の河口付近が大谷地になっていて、河水が滞流し、そこに海水が入り込んでいたことを地名としたものである。寛永元年(一六二四)月崎神社の御神託により、藩に願い出て福島村と改村したといわれている。この福島の地名については、現在の松前町の城跡地域を古くは福山と呼んでおり、それに対する福島なのか、本州対岸の青森県内の福島の地名を吉祥字として吸収して地名としたのかは定かではない。 また吉岡の地名も古くはオムナイと呼び、長禄元年のコシャマイン蜂起の際にも穏内(おんない)館の名が見えている。これもアイヌ語のオムナイ=川尻の塞(ふさが)る川という意味である。恐らく吉岡川の川尻の土砂が堆積して流れが悪かったことが想像され、近世にいたって吉岡村と改めたものである。 福島町内の字名は昭和十七年、吉岡村は昭和十三年字地番の改正により、難解文字の地名、三字以上の長い地名等を現在の地名に改正したが、それ以前の地名は多くアイヌ語に発した地名である。この地名を永田方正筆『北海道蝦夷語地名解』、山田秀三筆『北海道の地名』によって見ると、次のとおりである。
等であるが、これらの地名を見ると岬や海岸、あるいは河川など他の場所と異なっている地理条件を地名としている所が多く、そのほか、その地の産物、動植物をもって地名としている所もある。 |