安政四年 |
一 | 十一月廿六日嶋村村役人并笹井親類惣代として九兵衞 氏子惣代として惣次郎右両人相見得九兵衞申ニは早速なから申上候餘り延日ニ相成候得共當夏中申上候笹井家聟養子之義村中漸相談決着ニ相成同村治五右衞 門二男安太郎貰請候ニ付此段御届ニ罷出候と申事ニ付拙者申ニは夫は目出度事ニ候當方ニ而も安心致候と申入候九兵衞 申ニは何れ御當家様へ追々安太郎義願上候拙者申ニは其義ハ村方へ差置候而も職分難覚何れ村中相談之上可然と申 聞候九兵衞 申ニは在方掛りへ爲知不申候而も宜敷哉問合ニ付其義ハ爲含置候而可然猶又願書御聞届ケニ相成候ハヽ安太郎義ハ拙者方へ届ケニ可差出候明日願書差出候間御聞届迄逗留致候様申聞候其節村方中そい弐掛九兵衞 壱掛持参被致候 |
一 |
同廿七日笹井故市之進姉すも方へ聟養子貰請候ニ付村中相談相究御役所江書面 差出其文面
乍恐以書附奉願上候
私配下嶋村人笹井故市之進姉すも方へ同村治五右衞門忰二男安太郎儀双方熟談之上聟養子ニ貰請申度奉存候間何卒御聞済被仰付被下置度此段奉願上候以上
巳十一月廿七日
白鳥對馬 印
寺
御奉行所
右は拙者持参下代冨永与三兵衞ニ頼置候 |
一 | 十二月四日御用使有之司差出候処嶋村笹井故市之進姉方へ聟養子之願書御聞届ニ相成候趣下代櫻庭嘉右衞 門達ニ御座候其節拙者采女方へ事罷越留主中ニ而在方掛り代ニ参り居候九兵衞 方へ達有之候儀九兵衞拙者方へ相見得申置候得共帰宅不致候故翌五日ニ又候相見得其節申渡遣候 |
一 | 同十八日嶋村先例之通松内之者來り候昨年迄参り候者ハ當年かわり改而村方被申付候様申事ニ候尤小松十向不足ニ付其段申遣候黒米八舛塩引弐本差遣候 |
一 | 同十五日嶋村人笹井安太郎相續方之義御聞届ニ相成候ニ付両頭へ肩衣ニ而村役之者三人付添相見得其節鱈弐掛持参被致(順序原本のママ) |
一 | 十二月廿三日嶋村人笹井安太郎村方願書ニ付見習ニ來尤村方一統九兵衞 親類庄五郎六次郎代ニ而相見得申候其節樽肴持参四百疋拙者弐百疋家内へ司夫婦へ百疋ツヽ亀三郎夫婦茂吉夫々心付有之候盃差出帰り儀弐朱差上候 |
| 申渡之事 |
一 | 天下太平國家安全五穀成就上は大御君を始め万民至迄彌安穏殊ニは其村安全として朝ニ無怠日奏可相勤事 |
一 | 其村ニおゐて時々之御事平日御至迄相勤候節ハ兼而相教置候通 り職之作法相守り修行可致事 |
一 | 正月七日御禮式の節は無間欠前日出登いたし七日御規式御盃頂戴隔(ママ)式之順席相改メ御可申上様可致事 |
一 | 正月御獅子御事并霜月御城内隔年之御事の砌は其筋出登可致旨之書状相達候ハヽ時刻無間欠出登いたし當方ニ而彼是不申更様猶順序改メ相勤可申事 |
一 | 七并弁天両様ニ不限御祭の砌は其筋呼出しの書状相達次第態人を以拙者へ其旨可申遣右ニよらす万端下知を請候様可相心得事 |
一 | 両殿様御儀御参府并御入國の砌は御見送御出迎共拙者呼出しの書状相達不申候共御順風ニ付而其村役人出登之砌同道いたし御入城又ハ御出帆之砌恐悦可申上事 |
一 | 暑寒之砌入日前日に出登致居當日ニは拙者共同道ニ而寺御奉行所江罷出御伺可申上候事 |
一 | 五節句三朔日式日ニは其村鎮守御相済候上當本式日之拜并恐悦として出登いたし候様可相心得事 |
一 | 其村始持場之村鎮守新規御建之小至迄本拜殿并鳥居祠繕ひ建替之節は出登之上拙者江相届手を入可申左も無之一己之了簡ニ而取計候砌は譬ひ出來共取解しの上急度慎ミ申付候間左様相心得可申事 |
一 |
御事用向并御用向有之候節は拙者呼出し之書状差出候間右日限無間欠出登可致様相心得可申事
右之條々申渡候間急度相守心得違ひ無之様相勤可申候若病氣ニ而彌出登相成兼候ハヽ其段態人を以早速當方江可申遣遠方之事故万一虚病ニ而及不参後ニ而相知れ候節は其村役人同道ニ而呼出急度叱之上慎ミ申付候条僞無之様相勤可申事 |
〇 |
祝詞(のりと)舞
幣帛(みてぐら)舞、榊(さかき)舞ともいう。斉主が狩衣、烏帽子(えぼうし)姿で、青木、白木綿、麻糸を付けた「清道幣」を持って舞う。 |
〇 |
跡祓(あとばらい)舞
福田(ふくでん)舞ともいい、狩衣、烏帽子で、斉竹に青木、御幣、麻糸を付けた御幣を両手に持って舞う。 |
〇 |
庭散米(にはざこ)舞
二羽散米舞、鳥名子舞とも書く。狩衣姿で二人で舞う。雄は羽根に瑞雲(天)、雌は羽根に海波を描いた鳥兜を頭に載せ、頭と羽根の中間に稲穂の紋を付す。天地に撒く米を入れる折敷、五色絹垂付の玉 鈴、舞扇を用いるが、松前神楽を代表する舞楽の一つ。 |
〇 |
神遊(かみあそび)舞
天皇遊びともいう。胸当を被り長烏帽子、白鉢巻、白襷(たすき)、一人三本、一人二本の弓矢を負い、左手に弓、右手に玉 鈴を持つ武神二人の舞。この舞は松前家十世藩主矩広作と伝えられる。 |
〇 |
四ヶ散米(しさご)舞
三種の舞ともいい、胸当て(鬼狩衣)、長烏帽子に白鉢巻、四人で、弓、剣、刀の三品を持って舞う。最後には三人で舞納めるが、これは太平の御世に治まり、玉 鉾の道正しく君臣民の立栄え行くを表現したといわれ、これも藩主矩広の作といわれ、主に遷座式に斉行されたという。福島ではこの音曲、服装から発想された四ケ散米舞行列があり、他ではこれを見ることはできない。 |
〇 |
千歳(せんざい)舞
この舞は翁舞、三番叟舞の御箱開きの舞で、狩衣、烏帽子に短刀を指し、面箱および中啓(扇)をもって、身体強健、寿命長久を祝い祈る舞。 |
〇 |
翁舞
狩衣、烏帽子に白の神楽面を付け、中啓を持って舞う。翁は「とうとうたらりやらととふ」、「千秋萬歳の」の掛声を掛けながら、息災延命、立身出世を願って舞う最もめでたい舞である。 |
〇 |
三番叟(さんばそう)舞
黒面を被り、左手に扇、右手に十二鈴を持ち、背低く、色は黒いが、なお矍鑠(かくしゃく)とした健康長寿を示す舞で身体の構え、手のさばき、足のさばきが奏楽の「ハンヨイ」の掛声と揃うのが見せ場という。 |
〇 |
荒馬舞
松前遊(しょうぜんあそび)ともいう。城中神楽の際藩主の機嫌が悪いので、馬の好きな藩主を慰めるため、神主一同が即興的に舞ったといわれ、鬼狩衣、白襷、麻糸の髪(しゃが)を被り、跡祓舞の御幣二本を斜めに腰に指し、扇二本、五色絹垂(十二鈴)を持って舞う。 |
〇 |
鈴上舞
狩衣、烏帽子、左手に舞扇、右手に十二鈴を持って舞う。鈴は神の心を鎮めるといい、これを上下するので鈴上という。本来は神官の舞であったが、最近は女性が舞っている。 |
〇 |
山神舞
山神楽ともいう。白衣袴に赤熊毛(しゃが)(髪)を被り榊を付した御幣二本を背腰に交互に指し、剣を腰に差し舞うが、手指を交差するのは大山祇神、木花咲耶姫(このはさくやひめ)神の二人の男、女山神を表現し、山神を祭る舞である。 |
〇 |
八乙女舞
女性二人が白衣、緋袴、千早を着し、扇を持って舞う。松前神楽は本来男性の舞で、この舞は後代にいたって創造されたものと考えられる。 |
〇 |
鬼形舞
赤熊毛(しゃが)、鬼狩衣、白襷で、背腰に扇一本を差し手拍子(茶釜)を持ち、二人で舞い蝦夷の生活を表現しているといわれる。 |
〇 |
利生(りしょう)舞
神々に初穂を献じ、鎮魂を祈るため、烏帽子、狩衣、扇、玉鈴を持ち、跡祓の御幣を一本傾に指し、折敷、瓶子、湯笹の順に二人で舞う。 |
〇 |
兵法舞
一人は狩衣、烏帽子に白襷をかけ、狩衣の袖を肩に結び刀を持つ。一人は鬼狩衣、白襷、麻の赤熊毛(しゃが)を被り、長刀(なぎなた)を持って二人で舞うが、これは松前家祖武田信広が蝦夷と闘った姿を表現しているといわれる。 |
〇 |
神容(かみいり)舞
狩衣、烏帽子で背腰に跡祓の御幣一本を右に頭を向け傾に指し、二人で、扇、玉 鈴、米を入れた折敷、鎮釜の瓶子(へいし)一対を持って舞う。扇の手、折敷の手、神酒の手(節湯立)の順に舞う。 |
〇 |
獅子舞
十二回手が変ることから十二の手獅子舞ともいう。獅子頭は黒塗低額鹿系統の獅子頭で、それに十二反の黒地に白の日月を染抜いた幕に、麻糸の尾を付したものを用いる。
御稜威舞(獅子の上)、扇の手、劒の手、獅子五方、糸祓、柱固め手、鈴の手、三方頭、面 足獅子の順に行われるが、これには獅子取役、尾取役、猿田彦役、角出(つのだし)役等が必要である。 |
〇 |
注連祓(しめばらい)舞
七五三(しめ)祓舞とも書く。狩衣、烏帽子で襷をかけ、真刀を腰に指し、舞いながら殿天井に張られた注連を刀で斬り落としながら舞い、神事の終りを告げ、天下太平、五穀豊饒を祈る。 |