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 字吉岡の温泉保養センタ-ゆとらぎ館の前から吉岡旧道を一・五キロメ-トル程進んで、そこから旧道が大きく左に迂廻して山に入る二股口の右側に大滝のお不動様の社が鎮座していて、昔から遠近の人達に崇敬されてきた。今も大滝不動講社(講長平沼邦夫)が設けられていて、毎年五月二十八日、九月二十八日の春、秋二回例大祭が行われている。

 このお不動様は、浄土宗海福寺の管理に属していて、大祭の際は海福寺住職が導師となり、宵宮の夜は多くの講中の人達が泊り込んでお祈りをし、加護を求めている。

 不動信仰は真言宗の教主である大日如来を守るため、忿怒(ふんぬ)の相を表しているが、右手に智恵を表現する剣、左手に羂索(けんじゃく)を持ち、背には火焔を負っている。これは怒りの火によってもろもろの煩悩(ぼんのう)を焼き尽し、剣によってもろもろの迷いを断ち、羂索によって衆生を救済する姿を現している。この大滝のお不動様は躯高が約五〇センチメ-トルの赤色花崗岩製である。伝来された口伝では約三〇〇年前から安置されていたと言われるが、古くは、この社の傍らを流れる吉岡川の大滝の崖に穴を掘り、その中に安置していたと言われ、社殿が出来てからここに安置され、社殿も今までに四回建て替えられているというから、その古さが偲(しの)ばれる。昔は冬になると雪で参拝できないので、冬期間は海福寺に下げてきていたといわれている。

 この大滝のお不動様は霊験あらたかで、村に火災や地震等がある場合、信者の人達に霊夢をもって知らせ、信ずる人への降福繁昌を与え、さらには大滝の水は目に効くということで有名で、目薬水として遠近から汲みに来る人も多く、今も函館方面 からの参詣者も絶えない。

 過去の口伝では修験者もいたといわれ、真言行者によって管理されていたものと思われるが、それらの管理者がいなくなって、地元の浄土宗海福寺が管理するようになったものと思われる。